一方で、英国政府は、「新方針」でも、「ソフト離脱」に伴って米国との自由貿易協定(FTA)締結や、TPPへの将来的な参加を掲げて、EU以外の第三国との貿易関係の強化を目指す姿勢だ。日本とのFTA交渉も、7月19日に日本とEUが調印した経済連携協定(EPA)を踏襲する形で、来春にも開始されるとの指摘もある。

 英国政府としては、EUを離脱し、各国と新たな関係を構築・強化していくことは本来の目的の一つだったはずで、EU以外の国との連携に動き出すことは評価もできよう。だが実情は、「交渉なし離脱」が現実味を帯びるなかで、その際の打撃やマイナスの影響を相殺すべく、第三国との関係を新たに構築しなければという焦りが先にあるようにも見える。

欧州資本市場も分断のリスク
危機感強めるBOE

「財」の取引だけでなく、金融商品を含む「サービス取引」でも、不透明感が強まっている。

「新方針」では、英国にとっての主要産業である金融サービスについては、EUと、「財」に関する新共通ルールとは別の協定を結び、英国独自の規制権限を確保する意向が改めて示された。

 英国の貿易収支は、財収支の大幅な赤字の大部分を、サービス収支の黒字が補う形になっている。2017年はサービス黒字の4割は金融サービスによるものだ。EU離脱後も国際収支の柱となる産業として期待されている。

◆図表1:英国の貿易収支

 規制強化の風潮が強いEUとは一線を画す形で、国際金融都市としてのシティの強みを維持強化するためにも、英国はサービス、中でも金融サービスの規制権限は死守するものと思われる。

 だが、「交渉なし離脱」となれば、英国だけでなく欧州や世界の資本市場に大きな影響を与えかねない。