世界は群雄割拠の時代
井山六冠の強さとは?

――日本と中韓では集団研究の部分でも差があるといわれています。特に中国は、トッププロ同士でもお互いの手の内を明かし、一致団結して研究していると聞きます。日本ではトッププロ同士の研究会はどうなっていますか?

 日本でもナショナルチームを結成して、夏と冬に合宿を行っていますが、普段トップ棋士同士で集まるのは、ほぼその合宿ぐらい。中国だと国家チームがあって、中国棋院(中国の囲碁総本山)に行けば常に誰かいますし、韓国だと韓国囲碁リーグがあって、対局後は検討室に集まるという機会が日常的にあります。確かに日本でも、もっと日常的にトッププロ棋士と若手棋士が一緒に研究する場を作れば、全体的なレベルの底上げができるのでは…と思います。

――世界でより勝ち上がるために、自分のどの部分を伸ばしたいと思いますか?ぜひ世界ランキングのトップを目指してほしいと願う囲碁ファンは多いはずです。

 中韓の棋士と打ってみて違うな、と思うのが、どこに打てばいいのかわからない、難しい局面での構想力です。細かい読みよりは、大局観をより磨いていきたいですね。この前は柯潔九段にたまたま勝てましたが、今、世界のトップを狙える棋士は何十人もいる群雄割拠の時代です。世界ランキングのトップというよりは、まずはその人たちと互角に渡り合えるように、世界ランキング20位以内を目指していきたいです。

――国内に目を向けると、井山裕太六冠の独走状態が続いています。井山六冠のどこに強さを感じますか?

 最後まで集中力を切らさず、常にその局面の最善を尽くすところです。また、難しい局面での打ち進め方や、打開力にも強さを感じます。

――普段は井山六冠とは話をされたりするのでしょうか?

 月に1回程度、研究会で顔を合わせるぐらいなので、お話しする機会はほとんどないです。会ったときに「元気ですか?」と声をかけてくださるので、そこから一言二言交わすぐらいでしょうか。ただ、印象深かったのは去年、世界戦の予選で負けてしまった後に「何やってるの」と言われてしまったことです(笑)。

 井山六冠を特別に意識したことはなく、目の前にある対局に全力を尽くすことを常に心がけています。ですが、やはりタイトル戦には出たいですし、そのうえで、ぜひ井山六冠と勝負したいです。

――ちなみに、将棋の藤井聡太さんについてはどうお考えですか? 

 そこまで意識はしていないです。ただ、将棋と囲碁は似ている部分もあるので、将棋はうらやましいな、囲碁ももっとニュースで取り上げてくれればな、とは思いますね(笑)。