皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。
国内の株式市場の代表的な株価指標は、日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)です。日経平均株価をTOPIXで割り両指数の相対的な強さを示すのが「NT倍率」です。
国内の株式市場は、世界的な景気回復基調や国内の企業業績の好調を評価する一方、米中貿易摩擦の一段の激化などを懸念して、日経平均株価は方向感のない動きが続いています。こうしたなかNT倍率は、2010年以降緩やかに上昇してきましたが、今年に入り上昇が加速しました。
日銀は7月30日、31日に金融政策決定会合を開催し、日経平均に連動するETFを削減してTOPIXに連動するETFの買い入れ比率を拡大することを決定しました。NT倍率が拡大したことが一因と考えられており、株式市場ではNT倍率への注目が高まりました。
またNT倍率を分析すると市場や個別銘柄の動向への手がかりとなることもあります。また、インデックス型投資信託への投資を考える際に、日経平均株価かTOPIX、どちらに連動する商品に投資すべきかの判断材料にもなります。ここではNT倍率の仕組みと倍率が拡大した要因、今後の動向などに加えて、日銀の今回の決定の背景なども検証していきたいと思います。
NT倍率はなぜ変動するのか
日経平均株価とTOPIXの大きな違いとは?
日経平均株価は構成企業225社の株価を基に、除数などを用いた価格平均によって算出されます。日経平均株価は、価格平均で算出されるため、値がさ株の影響を受けやすい傾向があります。一方TOPIXは構成企業2102社(8月7日時点)の時価総額加重平均によって算出されます。
ちなみに、日経平均株価における8月7日時点での構成比率上位5銘柄は、ファーストリテイリング(7.81%)、ソフトバンクグループ(4.94%)、ファナック(3.59%)、東京エレクトロン(3.20%)、KDDI(3.05%)となります。
一方、TOPIXにおけるファーストリテイリングの構成比率は0.25%に過ぎず、両指数に対する構成比は7.56%も異なります。また日経平均株価は225銘柄の株価平均ですが、構成比上位25銘柄で指数全体の約50%を占めています。