こういった背景から、Eさんの「同性とのキスとはいかに?」という好奇心が育まれたであろうことは想像に難くない。

「自分が実際に男とキスをして、周りの女子が騒いでくれるのは悪い気はしません。BLの登場人物になった気分とでもいいましょうか。

 あの写真を投稿した理由も、知り合いの女子やその他BL好きの女子たちが喜んでくれるだろうという計算があったから、というのは否定しません。『まあせっかく撮ったんで記念に』という気持ちも強かったですが」

 類は友を呼ぶの法則に従ってか、Eさんの周りにはBLに理解のある男女が多かった。BL好きの男性は“腐男子”といってある一定の界隈では尊ばれる存在である。なお、Eさんのように同性愛者ではなくても“腐男子”となる人は珍しくない。

 しかし、残念ながら腐男子に理解を示さない層も一定数いるわけで、SNSに同様の写真を上げるのには誹謗中傷を受けるリスクを覚悟する必要がありそうである。そのあたりのことについてEさんはどのように考えているのだろうか。

「まずは『周りが喜んでくれるだろうからアップしよう』という気持ちが強かったですね。誹謗中傷を受ける可能性はありますが、そういうのは実際きてから対応を考えればいいかなと。

 嫌がる人もいるかもしれませんが、その半面喜ぶ人がいるのも事実なわけで。全人類に好かれようと思って生きているわけではないので、嫌いたいのであればそうしてもらえれば、と思います」

 SNSに自分の顔画像をアップする理由はさまざまである。“承認欲求”で割り切れるもの、割り切れないものが混在し、自撮り投稿に興味があるけどできない人の横で、特に深い覚悟に裏打ちされることなくスルッと投稿されるものもある。

 こうした人間のいろいろな可能性こそがSNSの面白さに他ならず、今日も各所で井の中の宴が開催されていることを思うと、にわかに楽しい心持ちがしてくるものである。