小学生男子Photo:PIXTA

 小学生男子の親なら十中八九、「あるある」とうなずくこと請け合いの研究がある。

 仏クレモン・オーヴェルニュ大学の研究チームは、8~12歳の男子12人と、19~23歳の一般成人男性12人、そして19~27歳の男性アスリート13人を対象に、年齢ごとの運動能力、運動後の回復力を比較した。

 一般成人男性は趣味としての運動に週に4時間以下を割いている人が、アスリートは週6回以上の長距離トレーニングを少なくとも2年間続けている全国クラスの選手が参加している。

 対象者はまず、ペダルの負荷を体重の7.5%に設定したサイクル・エルゴメーターを1分置きに7秒×2本こぎ、基礎データをとった後、2日以上を置いて「ウインゲート・テスト」を行った。

 ウインゲート・テストは、前述した負荷で、ただし今度は全力のペダリングを30秒間連続で行うもの。競輪選手の「もがき」をイメージするとわかりやすい。

 このテストでは、筋肉への酸素供給が追いつかない「無酸素」状態で、どれだけ最大のパワーを発揮できるか、マックスな状態をどれだけ続けられるかを探る。

 またテスト前後に無酸素性のエネルギー産生(解糖系)を反映する血中乳酸値を測った。無酸素状態で筋肉にエネルギーを供給し続けられる「筋持久力」と、普段の有酸素性エネルギー産生優位の状態に戻るまでの回復力を調べたわけだ。

 その結果、男子たちは一般成人男性よりエネルギー産生能力が高く、激しい運動の後でも筋肉の回復が早かった。それどころか、十分にトレーニングを積んだアスリート並みのエネルギー産生能力と回復力があり、心拍数の回復にいたってはアスリートの能力を上回ったという。

 研究者は「子供たちは有酸素性エネルギー産生の比率が高く、疲労からの回復も早いのでは」としている。道理で炎天下をモノともせず、走り回るわけである。

 さて、メタボ気味のお父さんが“現役”アスリートと張り合うのは難しい。せめて「給水所」役を務め、熱中症を防いであげよう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)