当時は、日米貿易摩擦の真っただ中。トヨタ社内では、市場が立ち上がっていない中国ではなく、米国で現地化を進めることが最優先課題になっていた。

 しかし、独フォルクスワーゲン(VW)は、トヨタとは対照的な反応を示した。85年に外資の先頭を切って進出したのだ。ある元商社マンは、「中国では雪中送炭(相手が困窮しているときに救いの手を差し伸べること)が感謝される。中国が車を造りたいと言ったときに手を差し伸べたのはドイツだった」と言う。

“雪中送炭”を実践した独フォルクスワーゲンは、中国で特恵待遇を受け続けている“雪中送炭”を実践した独フォルクスワーゲンは、中国で特恵待遇を受け続けている。異例の「3社目の合弁」の認可を受けて、安徽江淮汽車とEVの開発・生産に着手 Photo:©Sipa USA/amanaimages,Sean Gallup/gettyimages

 その後、VWは中国から特恵待遇を受け続けている。17年には、異例の「3社目の合弁」が認められ、中国企業と共同でEVを開発・生産することが決まった。

 結局、トヨタが第一汽車と合弁契約を結んだのは02年で、VWより遅れること17年。そのトヨタが、ついに中国戦略に本腰を入れる。

 鉄鋼、家電、自動車──。外資に学ぶことから始めた中国の製造業は目覚しい進歩を遂げた。現在繰り広げられている米中貿易戦争が、通商摩擦を超えてハイテク覇権争いへ突入していること自体が、中国の成長ぶりを証明している。