虚偽供述による
冤罪増加の危険性も

 前述のように、日本型司法取引制度は、検察官が強く望んでいたもので、より検察の権限が広がることも確かだ。しかし一方で、共犯者供述の扱いがこれまで以上に重要かつ危険にもなるという。

「そもそも共犯者供述が危ないのは、刑事裁判の常識です。なぜかといえば、『自分が1人でやりました』と自白するよりも、他の人に罪をかぶせた方が被疑者も得になることが分かっているので、冤罪のケースも多いのです。それに加えて、今回の司法取引制度ではっきりと見返りが約束されることにより、まったく関係のない人に罪をかぶせて自分は逃げ切ろうとするというような、打算的で虚偽の供述が以前よりも増えることが予想されます。諸外国でも、司法取引による冤罪が問題となっています」

 企業犯罪、組織犯罪の摘発が増えていくのか、もしくは権限が拡大した検察による冤罪が増えてしまうのか、どちらの可能性も十分にあり得る司法制度といえるのだ。日本型司法取引制度の功罪は、実際に長期間運用してみないことには答えは出ないだろう。