しかし、あらゆる人に自社を知ってもらうことは、応募者を増やすこと自体には役立ちますが、自社にとって必要な人材に入社してもらい、定着してもらうこととは別問題です。企業が行うべき努力は、「ここで働く理由」を徹底的につくることです。

 例えば、以前本連載でご紹介したヤマシンフィルタは、社員数500人の規模で、誰もが知っている商品があるわけではないBtoB事業の企業ですが、有名大学の落語研究会と独自のルートを構築することで、他社にはない「ここで働く理由」をつくる工夫を行っています。

 スタートトゥデイの本社は、前澤氏の出身でもある千葉県の、駅で言えばJR京葉線の海浜幕張駅に位置し、関東全域から就職するには、決して有利なロケーションとは言えません。しかし、逆に千葉県に住む学生や社会人で、ファッションやネットに興味、強みがある人材からすると、東京へ向かう通勤ラッシュとは無縁のルートで通勤することができます。

 また、幕張地域に住む社員には「幕張手当」という手当があり、全社員の約7割に支給されているといいます。平均年齢31歳という若い社員にとって、同じ地域に住みながら働くことは一体感を生み出すことにもつながりますし、何より、一見不利に見える地域的な条件を見事に「ここで働く理由」に変えています。

 日本全国から人を集める毎年大規模な採用をするには、東京の中心地にオフィスを構えることも1つの戦略ですが、一定数の社員を確実に採用するためには、まず独自の「ここで働く理由」をしっかりと形成することが近道なのです。

スタートトゥデイが
「ボーナスの全員同額支給」を行う理由

 多くの日本企業では、「成果主義」や「個人目標評価制度」といった評価制度が導入され、「個人の成果を適切に評価することこそが、公正な評価制度である」という考え方が主流となっています。

 さらに最近では、「1 on 1ミーティング」や「No Rating」などで個人のパフォーマンスをより詳細に見て、差を付けていくという、「評価の個別化」が時流になっています。

 これは、事業が複雑化し、個人の仕事が細分化されている大企業にとっては非常に合理的な手法でしょう。しかし、比較的単一事業に近く、全員がほぼ同じ事業に関わっている場合は、非効率な手法にもなりえます。