こうした中国の市場動向と中国政府の国策、直近のスズキ車減退に鑑みて、スズキが合弁生産の解消を判断したのも当然の成り行きであったのだろう。トヨタとの連携も、新たな中国展開を見据えてのこととも推察される。

鈴木修会長の
存在感と影響力

 一方で、スズキはかつて北米で、GMとの資本提携関係に基づきカナダでのGMとの合弁生産会社CAMIでスズキ車を現地生産し、米国市場に供給していた。「サムライ(日本名ジムニー)」は米国でも人気を集めたが、GMとの資本提携解消(2008年)に続きカナダでの合弁生産も解消。2012年には米国四輪車事業から全面撤退している(二輪車と船外機事業は継続)。

 最近のトランプ政権の北米自由貿易協定(NAFTA)見直し交渉や輸入車・部品の高関税化への動きで、日本車各社が北米戦略の見直しを迫られている。また、米国市場でインセンティブ(販売奨励金)の高まりなど各社が収益面で厳しい状況を強いられる中で、スズキは米国から撤退していたこともあり、インドでの好調な収益力を背景に連結業績は順調に推移している。

 米国と中国から撤退しても、スズキはインドでの強力な生産・販売体制を軸にグローバル展開することで、独自に生き抜くことが可能であると判断したのであろう。

 齢(よわい)88歳となった鈴木修スズキ会長だが「どこかでトップになる」との経営の執念は揺るぎないものがある。

 2年後に創業100周年を迎えるスズキにとって、鈴木修会長のカリスマ経営からの脱皮、鈴木俊宏体制への本格移行は大きな課題だが、今回の中国撤退の決断を見ると、修会長が健在な限り、その存在感と影響力はまだまだ大きい。

(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)