新聞記事などで「おや?」と思った方もいるかもしれないが、今回、巡査が紛失したのは「自動式(オートマチック)」とされる。日本では警察官が所持していたのは長らく「回転式(リボルバー)」のニューナンブだった。最近は自動式も配備されるようになり、回転式も順次、米国のスミス・アンド・ウェッソン社(S&W)製に切り替えている。

 自動式は要人警護などを担当するSP(セキュリティポリス)、事件発生直後に現場へ急行する機動捜査隊、拳銃の取り締まりを担当する銃器対策、暴力団などを担当する組織犯罪対策の私服警官のほか、各都道府県警刑事部の立てこもり事件突入班(捜査1課のSITなど)ではむしろ主流となっている。

 この2つはどこが違うのか。

 回転式は頑丈で耐久性があり操作が簡単、部品が少なく保守・管理が容易、暴発の危険性が低く価格も安いのが利点。対して自動式は装填(そうてん)できる弾数が多く連射が可能で、弾倉交換も簡単な一方、構造が複雑で整備不良や不慣れだと弾詰まりや暴発事故の危険性がある。

 簡単に言えば、回転式は交番勤務のお巡りさんが万が一に備え威嚇用として所持するのが主な用途であるのに対し、自動式は実戦向けとイメージしてもらえればいいだろう。つまり巡査が紛失したのは脅しのためではなく、“プロ”が相手の殺傷を目的として発射する拳銃だったということだ。

警察官が上司射殺の異常性

 実は最近、警察官の拳銃の置き忘れが多く報告されている。警察署内はまだ救われるが、駅や空港、コンビニエンスストア、一般店舗など、とにかく「トイレ」に置き忘れるケースは枚挙にいとまがない。

 いずれも清掃員や警備員、ほかの客などが気付いて無事に届けられているが、不心得者が持ち帰って悪用でもしたら、不祥事では済まない。

 警視庁で長く刑事を勤めた元男性警部補は「昔は拳銃の取り扱いについてしつこいほど、本当にしつこいほどきつく指導された。今はぬるいのではないか」と懸念する。「昔を振り返るのは年寄りの悪い癖かもしれないが、最近は多過ぎる。昔は拳銃を紛失したら辞表モンだった」とため息をついた。