そうした会計検査院が報告したのだから、「海外不動産を使った節税スキーム」がそろそろふさがれてもおかしくない。今年度の税制改正や、それに向けての富裕層の駆け込み需要にも注意が必要である。

改正されれば富裕層の
駆け込み需要が生じる可能性大

 では、改正されたとして、その影響を考えてみたい。

 まず、過去の減価償却に関する税制改正を振り返ってみよう。1998年度税制改正 の建物耐用年数の短縮化の際には、改正前取得でも改正後取得でも、どちらも短くなった耐用年数での計算がなされた。2007年度税制改正 の建物減価償却方法につき、定率法を選択できなくなった際には2007年4月1日以降の取得分からについての適用で、それ以前取得の場合には改正の影響はなかった。

 海外不動産の節税スキームが改正されると仮定すると、実態に即した耐用年数の改訂作業を行うことが予想される。改訂作業には「それなりの時間」が必要であり、改正時期は何とも言えないが、過去の改正内容に鑑みると、(1)改正前から取得している海外不動産は何も影響を受けず、改正後の適用日以後取得分だけの適用になる、(2)改正後の適用日後取得分だけでなく、改正前の取得分も含めての適用になる、という2つの選択肢が考えられるだろう。

 楽観的に上記(1)であれば、年度末までに駆け込み購入して減価償却を取ることを優先することになるが、減価償却後に売却する場合、節税対策とならない日本人が購入対象となることは考えづらい。

 これに対して、悲観的に(2)と考えれば、メリットを享受できるのは税制改正される タイミング次第ということになり、可能な限り早く購入する必要が生じる。

 一般的な税制改正は改正前には影響を与えないものが多く、納税者有利に働くことが多いため、私見では(1)になる可能性が高いと考えるが100%絶対というものがないのが世の常だ。

 こうした状況を受け、年末に向けて富裕層の駆け込み需要が生じることは間違いない情勢といえる。ただし、リスクを把握した上での意思決定が望まれるところだ。