出勤する女性写真はイメージです Photo:PIXTA

長い間、不況に苦しめられた日本経済は、ここにきて少子高齢化による労働力不足で「黄金時代」に突入したと言える。そう結論するに至った理由について考察してみることにする。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

景気低迷時の諸悪の根源は失業

 バブルが崩壊してから最近まで、20年以上にわたり、一時的な例外を除いて需要不足による不況が続き、労働力の需給は緩んだままだった。それによって、失業が常に問題であり続けた。失業自体、大問題であったことには疑いはないが、それのみならず日本経済の諸悪の根源でもあった。失業が、それ以外の問題も多数引き起こしていたのである。

 まず、失業対策として公共投資が行われたため財政赤字が拡大した。そればかりではない。役所の仕事についても、効率化すると失業が増えてしまうためインセンティブに乏しく、一向に改善されなかった。また、景気が悪化すると失業者が増えてしまうため、増税も難しかった。