惜しまれる指導力
貴乃花部屋には3人の関取

 別表は9月場所の部屋別関取数の上位をランキングにしたものだ。1位は追手風部屋で7人の関取がいる。幕内には遠藤、大翔丸、大栄翔の3人がいて、十両が4人だ。追手風親方は元前頭大翔山だが、育成力はなかなかのものなのだ。

 2位は九重部屋と木瀬部屋が6人で並んでいる。ただし、九重部屋は幕内力士が4人(千代大龍、千代の国、千代丸、千代翔馬)いるのに対し、木瀬部屋は6人全員が十両。九重親方は元大関千代大海、木瀬親方は元前頭肥後ノ海だが、育成実績では九重親方に軍配が上がる。この上位3部屋に次ぐ同数4位が3人の関取がいる9部屋。ここには横綱白鵬が所属する宮城野部屋、大関豪栄道がいる境川部屋、大関栃ノ心がいる春日野部屋など名門が名を連ねているが、このなかに貴乃花部屋も入っているのだ。

 部屋を率いる親方にとって弟子を関取にするのは指導力がある証しだし、関取が生れれば協会から養成奨励金などが支給され、部屋の運営も安定する。だから、有望な少年力士がいれば熱心にスカウトするし、稽古でも自分の持つ技術や知識を総動員して指導する。だが、それでもなかなか関取まで育たないのが実情。部屋を受け継いでから10年以上、関取が生れないところもあるのだ。

 貴乃花親方は2004年、父の二子山親方(元大関貴ノ花)が運営していた部屋を継承し、貴乃花部屋としたが、それから十数年で3人の関取がいる部屋にしたのは優秀といえる。

 そうした力士育成力の点からみても、貴乃花親方が角界を去るのは惜しいのだ。一本気で組織の輪を乱す貴乃花親方を嫌う親方もいるようだが、そんな思惑によって失ってはならない存在。本人が去ると言っても、協会は全力で引き留めるのが筋ではないだろうか。

(スポーツライター 相沢光一)