デザイン思考研修は従来型の「知識伝達」型の研修とは違い、メンバーがフラットな関係で学ぶ場である(写真はイメージです) Photo:PIXTA

今すぐに答えの出ない、または、今はないけれどこれから新しい「なにか」を生み出すことを狙った内製によるデザイン思考研修。それは、従来型の「知識伝達」型の研修とは違い、メンバーがフラットな関係で学ぶ場である。教え合う関係のあり方も、一般的なそれと比べて少し違うようだ。前回に続き、野村総合研究所流通・情報通信ソリューション事業本部の下田浩誉さんに話を聞いた。(講師ビジョン株式会社 代表取締役 島村公俊、構成/片瀬京子)

本来あるべき「観察」とは
どのようなものか

島村 今、デザイン思考の研修はどういった社員を対象に行っているのでしょうか。

下田 この研修は4年前に遡りますが、まずは本部内役職員へのイノベーションについての意識調査をし、当時は、「価値実現力」(*1)について得意とする人材は多いが、「価値発見力」(*2)については補完する必要があるという議論となりました。決められたプロジェクトを期限内に確実に高品質でITを提供することには問題がありませんが、お客様への提案や社会を創造するために必要な「価値発見力」を得意とする人材はこれから育成しなくてはならないという課題認識です。

 まず、「価値実現力」とともに「価値発見力」に素養のある社員を探して声をかけて、いまのデザイン思考の研修の初期段階の受講をお願いし、その反応を見つつ、受講層を広げていきました。これらイノベーター素養およびアーリーアダプター受講後は、受講者からの紹介の輪が広がって、公募のような形をとっています。

 両者のどちらが仕事に適している・いない、ではなく、両者のバランスを取りながらビジネスを進めていくことを理想として位置付けている。また、両者を1人ですべて得意とすることを求めるものではなく、それぞれに得意とする人材の組み合わせによるチームとしてのメンバーシップの発揮の効果も期待をしている。

*1 価値実現力:計画力、定量思考、自己管理力、マネジメント力、説得力、達成への執念、巻き込み力として位置付けている
*2  価値発見力:おかしいと思う力、試す力、捨てる力、人とつながる力、関連付ける力、観察する力、挑戦する力、として位置付けている(コンサルティング部門として、診断サービス(有償)を提供中)