経営トップは委任されてなるもの 
社員を「取り締まる」ものではない

秋山進秋山進(あきやま・すすむ)
プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役

秋山 取締役会が会社の外にあるということと同時に、トップは誰に選ばれて経営しているのかという認識が薄いのも困りものですね。下手をすると本音でも建て前でも心の底から「私は前の社長に(トップに)選ばれた」などと考えている人もいるかもしれません。

中島 先ほどの図を再び見てほしいのですが、取締役は株主総会から委任されてなるものです。取締役は会社に雇用された従業員ではなく、「経営のプロ」として株主総会で委任されて就任するものです。強い使命感と高い能力をもった「経営の専門家」として働くことが期待されます。そう考えれば高い報酬をもらうのも合理的なことといえます。

 プロフェッショナル、プロフェッションという語の語源は「pro=予め」「fession =誓う」で、西欧では、神との契約が前提になった言葉です。前回、企業間の契約は神聖なものと言いましたが、本来は、株主総会と取締役との間の委任契約も神聖、崇高なものです。

秋山 しかし、そうしたプロフェッショナリズムは浸透していないですよね。そもそも世間も社員も取締役のことをプロだと思っていないし、プロ意識が希薄ではと思うような代表取締役社長にもたまにお目にかかることがあります。 

「社外取締役」の機能不全
お客様扱いはそろそろやめよう

中島 社外取締役の機能不全も問題です。立派な学者や著名な女性をそろえればいい、という形を整えるような選び方をしていないでしょうか。「ダイバーシティ」(多様化)で女性を入れるのであれば、別に著名人でなくても、ふさわしい人材はたくさんいるはずです。現状では著名な人が何社もかけもちしていたりします。企業は本気でその人に社外取締役として機能してもらいたいと思っているのかと尋ねたくなります。

秋山 社外取締役が形骸化している情けない例として、「工場見学に来てもらうのが申し訳ない」と企業が言ったり、自社のことをあまりよくわかっていないから、株主総会では「失礼のないように」社外取締役に対する質問を受けないようにしたりとか、受けても、代わりに「社内取締役」が回答することにしている、というようなこともあるようですね。

中島 最初から名誉職という建て付けで招聘するからですね。そろそろ社外取締役をお客様扱いすることはやめてほしいですね。

秋山 私も社外取締役を引き受けている企業がありますが、重要な決議事項があると、判断に神経をすり減らすことがあります。特に大きな投資のときに判断が難しいですね。東芝やオリンパスの例では、さまざまな事情があったにせよ、社外取締役はどういう意見だったのだろうかと思いますね。