相鉄プロジェクトの
コンセプトはこうして決まった

水野学(みずの・まなぶ)
good design company代表。クリエイティブディレクター、クリエイティブコンサルタント。
ゼロからのブランドづくりをはじめ、ロゴ制作、商品企画、パッケージデザイン、インテリアデザイン、コンサルティングまでをトータルに手がける。
おもな仕事に、相鉄グループ「デザインブランドアッププロジェクト」、熊本県「くまモン」、中川政七商店、久原本家「茅乃舎」、イオンリテール「HOME COORDY」、東京ミッドタウン、オイシックス・ラ・大地「Oisix」、興和「TENERITA」「FLANDERS LINEN」、黒木本店、NTTドコモ「iD」、農林水産省CI、宇多田ヒカル「SINGLE COLLECTION VOL.2」、首都高速道路「東京スマートドライバー」など。著書に『「売る」から、「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義』(誠文堂新光社)、『センスは知識からはじまる』『アウトプットのスイッチ』『アイデアの接着剤』(すべて朝日新聞出版)などがある。

   横浜を走る鉄道、相鉄が100周年を超えてなお、さらに愛されるものになるためにブランディングしなおすプロジェクト。これは、とても寿命の長いプロジェクトです。

「時代によってよさが変わってしまうかもしれないものは、極力避けよう」
「100年後も、よさが変わらないものをつくろう」
 そう考えました。

 そのうえでどのような提案がふさわしいかを考えると、「とてもオーソドックスなもの」という全体像が浮かび上がってきました。

 デザインというと、珍しかったりおもしろかったりするほうが、いかにも「らしく」て受け入れられやすいものです。逆に、ごくふつうで、堅実で、シンプルな提案だと「別にデザインなんかされていないじゃない?」と言われることが多い。

 しかし、100年スパンで想像すると、「珍しいものは飽きられる」という答えは、はっきりと見えていました。

・ 古くならない、醸成するデザイン
・ 普遍的な色、素材
・ 100年たっても色あせないもの

 こんなキーワードをもとに出てきた相鉄のデザインコンセプトは、「安全×安心×エレガント」でした。

 安全、安心は普遍の価値であり、鉄道の責務。デザインも、それをあらわすものでなければなりません。そのうえで、横浜という街をつくった鉄道ゆえの上質感、優雅さを表現したいと思ったのです。

 相鉄に限らず、ぼくが携わるプロジェクトはすべて「どれくらいの寿命になるか」を想像します。

 数日でその役目を終えるイベントなのか?
 次の世代にも愛されるようなものにするのか?

  ついプロジェクトが終わったときが寿命であるかのように考えがちですが、「さらにその先にどうなるのか」をきちんと想像することが、プロジェクトを成功させる秘訣なのだと思います。