日々膨大な仕事をこなす一流のクリエイターは、どのように仕事を進めているのでしょうか?

くまモン、相鉄、Oisixなど、多くのプロジェクトを手がけるクリエイティブディレクター・水野学氏。水野氏が大切にする仕事の基本は、意外にも「段取り」とのこと。仕事を効率的かつ高いクオリティでやり遂げるためには、「段取り」が欠かせないといいます。今回はチームや仕事相手と一緒に「段取り」を進めていくための方法と注意点についてお伝えします。

これからの仕事の基本である、「段取り」の秘密を全公開したのが『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』(ダイヤモンド社)。この連載では本書から一部を抜粋・再編集し特別公開します。<構成:須崎千春(WORDS)、編集部>

チームや仕事相手と一緒に「段取り」を進めていくための方法と注意点とは?

駐車場のおじさんと仲よくしていた理由

 自分ひとりで仕事を進めるための段取りであれば、わりとシンプルです。しかし、ほとんどのプロジェクトは、もうひとつの要素が必要となります。

 すなわち「チームでの段取り」です。
(段取りの重要性については、第1回を参照ください)

 今は働き方が多様化し、社内外でチームをつくるという動きも増えています。ひとりでもがくのではなく、人を巻き込んで大きく仕事を動かしていく。これも新しい時代の段取りの大事な要素です。

 ぼくの妻でもあるわが社のプロデューサーは、会社にもぼく個人にもなくてはならない存在ですが、段取りにかけても相当なスゴ腕です。

 彼女の前職はテレビ局員。結婚する前、彼女が仲よさそうに電話をしている相手が駐車場のおじさんだと知って、驚いたことがあります。

 聞けば、タレント事務所の人が「駐車場内のいいところに停めさせてほしい」と言ってくるそうです。出演者に時間どおりに気分よくスタジオに入ってもらうのがスタッフの仕事であれば、ちょっぴりわがままなリクエストにも対応するために、いつでも駐車場のおじさんにお願いできる関係があるほうがいい。

 新人のころから何かとお菓子や飲み物を差し入れたりしていた妻は、駐車場のおじさんとすっかり親しくなっていたのです。

 最近、この話を思い出して、まさに仕事のための段取りだなあと感じました。

「この番組のための段取り」とか「このタレントさんのための手配」ではなく、駐車場の融通をきかせるというのは、どんな番組でも必要です。

 つまり、ひとつの関係性をつくったことで、仕事が効率化するのです。こうして駐車場のおじさんも「自分のチームの一員」とすることで、仕事をパワーアップさせていたのではないかと感じます。