ベーシックな金融知識の理解で自らを守る

 インデックス型ファンドを信仰している投資家が多いので、これについては投資家と少し踏み込んだ議論もしている。

 まず、筆者の主張した点は、インデックス型ファンドだけに投資するという事は、どれだけ投資がうまくいったとしても、コスト控除後の「インデックスのパフォーマンスがリターンの上限」になるという点である。銘柄選択や特定のセクターやサイズに比重をかけないため、インデックスに大きく負けることもないが、大きく勝つこともない。

 加えて、インデックス型ファンドでの運用をするにあたり、最低限の知識を改めて共有しておきたい。資本資産価格モデルと、ファクターモデルについてだ。このレベルの知識を持たないままに運用しているようであれば、自らの羅針盤を持たず、噂を聞いただけで勢い航海に出るようなものだ。航海には困難がつきものだが、基本知識がなければ最適な判断を下すことは到底できない。

資本資産価格モデル(CAPM)とファクターモデル

 インデックス型ファンドでの運用は、一般的にパッシブ運用ともいう。考え方のスタートとして、「資産の期待リターンは、安全資産のリターンと市場全体の変動と連動したリスクへの見返り」と考える資本資産価格モデル(CAPM)が成立すると仮定する。するとインデックス、つまり市場ポートフォリオは、投資家にとって最適な選択肢となる。

 CAPMでは、個別銘柄の期待収益率は、市場リスクの水準(ベータ)に比例するとされている。具体的には、リスクが株式市場ポートフォリオの半分である銘柄は、株式プレミアムも半分しか得られないが、リスクが2倍の時はプレミアムも2倍になるという事だ。

 しかし、実データを用いたCAPMによる予測値を検証したいくつかの研究結果によると、市場リスクと株式のリターンの間に明確な正の相関は見られず、むしろ無相関な銘柄や、なかには負の相関が観測される銘柄も存在している。

 そこで、CAPMに替わって登場したのがファーマ・フレンチのファクターモデルである。「サイズ、バリュー、クオリティ、モメンタムといった株式の特性が将来の期待収益率の予測に有効である」というものだ。

 ロベコ社が1986年から2016年までの期間において、世界株式データを使いファクター特性の魅力度順に5分類にグループを分けて検証したところ、最下位グループにあたる20%の銘柄群は30年間に渡りプレミアムがマイナスになった。キャッシュに対して年率2.5%、高格付け国債に対しては同4.0%のマイナスである。これはつまり、「市場ポートフォリオに投資するという事は、全体のパフォーマンスを押し下げる銘柄には目をつぶり、投資をしている」ということを意味している。