価格差はあって当たり前!
横並びの見積金額は談合・リベートの証

「なぜ同じ工事範囲で、同じ仕様で見積もっているのに、見積金額に大きな差が出ることが当たり前なのか」と疑問に思う方もいるだろう。それは、見積もりを出す工事業者の立場や状況によるところも大きいといえる。

 例えば、その公募に応じる際に、ちょうど仕事が薄い状態にあるような工事会社の場合、社員を遊ばせているよりは、利益があまり見込めなくても仕事を受注するほうがいいと判断し、通常よりも何割か価格を下げてくるということは珍しくない。反対に、受注残が豊富にあって、無理に新しい仕事を取る必要がない場合には、見積金額を何割か高めにして提出することもあるのだ。

 さて、前述の9社による見積もりの例では、最終的にA社が工事を受注した。

 決め手は9社のうちで最安値の見積金額だったことによる。しかし、実はあらかじめ結果は決まっていた。コンサルタント会社は、工事業者を決めるにあたって公募という形を取ったが、実際には、厳しい見積参加条件をつけて、「談合サークル」とも呼べる工事会社だけが応募できるようにし、最初からA社が受注できるように取りはからっていたのだ。

 9社による見積金額の差額の幅が小さかったのも、当然談合の取り決めによるものだ。コンサルタント会社によって、あらかじめA社が今回の工事を受注できる“チャンピオン業者”に決められ、A社以外の会社は、A社の見積金額を元に、それよりも見積金額が上回るように調整しながら、それらしい数字を出してきたのである。

 つまり、コンサルタント会社は、管理組合をだましていたのだ。

 しかもそれは、管理組合との契約締結時から仕組まれていたものだ。しかし、“素人の集まり”である管理組合では、残念ながら誰もそのことに気づけないのである(談合の実態やその方法については、連載第6回「マンション大規模修繕で住民を食い物にする呆れた業界の実態」連載第11回「マンション大規模修繕で『談合』業者横行、その悪質手口とは」を参照)。