サウジアラビアの反体制派記者ジャマル・カショギ氏の失踪に同国が関与したとの疑惑を巡って国際社会の批判が強まるなか、シリコンバレーの不安を誘う事実がある。サウジは現在、米国の新興企業にとって最大の資金供給源なのだ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が調査会社ピッチブックのデータを基に推計したところによると、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は2016年半ば以来、110億ドル(現在のレートで約1兆2300億円)以上の資金を米新興企業に振り向けてきた。直接投資もあれば、ソフトバンク・グループの「ビジョン・ファンド」経由の投資もある。サウジは920億ドル規模の同ファンドに450億ドル出資している。サウジがこれまで米新興企業に投資した金額の合計は、どのベンチャーキャピタル(VC)ファンドによる投資額よりもはるかに大きい。