今、顧客減、会員減に悩んでいる企業は多い。中でも定額課金=サブスクリプションモデルで利益を上げている場合には、会員取得ばかりに目を向けて、離れてしまう顧客には、なかなか有効な手を打てない現状だ。
元WOWOWグループ初の女性取締役であり、顧客を引き留める「リテンションマーケティング」で実績を上げた大坂祐希枝氏が初の著書である『売上の8割を占める 優良顧客を逃さない方法 利益を伸ばすリテンションマーケティング入門』を発売。
この連載では、この著書から一部抜粋してご紹介する。

引き留めるポイントは人の「気持ち」

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前々回前回では、WOWOWが、400万件にもおよぶ顧客データを再構築した方法をご紹介しました。その顧客データを62のグループ(クラスター)に分け、それぞれの特性に合わせたリテンション施策をおこなったところ、めざましい効果があったのです。

顧客特性によるグループ分類が顧客を知る手立てとして有効に活用され、リテンション率が向上したことを受け、データ構築の次の対象はサービス(番組)に移りました。

解約抑止の本質は、商品やサービスの利用促進、WOWOWならば番組の視聴促進にあります。それを実施するためには、顧客ニーズの変化と、番組やジャンルごとの過去の利用率(視聴率)の関係を分析する必要があることは、従来から社内でも指摘されてきました。

しかし、WOWOWでは映画、音楽、スポーツ、ドラマ、ドキュメンタリーと番組ジャンルが多岐にわたり、あまりに番組数が多く、データベース構築にあたっての負担が大きいことが予測されたためにスタートが遅れていました。

ところがその後、動画配信サービスが続々誕生。本格的なリコメンドエンジンを使用して顧客に番組を勧めるNetflixの登場などにより、WOWOWでも番組情報データベースの構築が急務ということになりました。