武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長CEO買収反対派への対応が注目される武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長CEO

 国内製薬トップ、武田薬品工業の超大型買収案をめぐり、経営陣と買収反対派の直接対決“第2ラウンド”が始まっている。

 武田薬品がアイルランドのバイオ医薬大手、シャイアーを約6.8兆円で買収すると発表したのが今年5月8日。武田薬品の一部の創業家筋やOBでつくる「武田薬品の将来を考える会」は6月28日、本社がある大阪で開かれた定時株主総会で、買収反対意思を示す定款一部変更案を株主提案。9.44%の賛同を得た。会場で創業家筋の株主が財務悪化や高リスクを指摘すると、拍手喝采となった。

 それから約4ヵ月。世界各国の独占禁止法上の問題は順調にクリアし、最大のハードルである臨時株主総会を残すのみとなった。

 シャイアー買収の対価の一部は武田薬品の新株で賄われるため、既存株主に新株発行の承認を得ることが必要。つまり買収の是非そのものが臨時株主総会で諮られるわけだが、開催まで3ヵ月を切り、「考える会」がまた動き始めた。

 クリストフ・ウェバー社長CEO(最高経営責任者)宛てに「買収に伴う借入金の返済計画」「高額な買収プレミアムの根拠」などを問う質問状を送ったのだ。「買収に関する取締役会議事録の開示」も要請。10月末までの回答を求めている。「考える会」アドバイザーのアナリストが欧米の一部機関投資家へ説得も始めた。