つまり、世界中の投機家を含めたあらゆる需要と供給の関係であって、日本国内の事情で動いているわけではない。だから日本の経済だけを見ていても、ガソリン価格がなぜ上がったのかは分からないのだ。

 ここで余談を1つ。ニューヨークで行われているのは、原油そのものの取引ではなく、先物取引だ。つまり、原油価格が上がると考えた投機家は、実際の原油を購入して値上がりするまで保管する必要はなく、値下がりすると考えた投機家は、原油を借りてきて売却し、値下がりしたところで原油を購入して返済する必要はない。先物取引にはそうした特徴があるので、さまざまな投機資金が取引に参加しやすいわけだ。

 また、WTI以外の原油を売り買いするときは、「この原油は品質がいいから、WTIの値段より1ドル高く取引します」といった取り決めをすればいい。特に、長期取引の場合はこれが便利。「AはBから今後10年間、毎日1万バーレルの原油を買う。値段は1バーレルあたりWTIプラス1ドルとする」と決めておけばいいからだ。

 では、なぜニューヨークなのだろうか。それに理屈はない。皆がニューヨークで原油を取引しているから、ニューヨークへ行けば取引相手が見つかるということだ。もちろん、実際にはインターネットなどで取引できるから、飛行機に乗ってニューヨークへ行く必要はなく、回線をニューヨークの取引所と繋げるだけだ。

ドルの値段も
ニューヨークで動く

 前述したように、ドルの値段(1ドル=○○円)もニューヨークで動く。世界中のドルの売り注文と買い注文が、ニューヨークに集まるからだ。なぜニューヨークなのかといえば、これまた世界最大の金融市場であり、ドルと円の取引をしたければニューヨークへ行くのが便利だからだ。