拙速な海外展開のツケ

 キリンHDは2000年代中盤、食品業界の巨額M&A攻勢の先兵となってきた。しかし、振り返ってみればその内容は拙速なものが多かった。

 11年に約3000億円で買収したブラジルのスキンカリオール(ブラジルキリン)は、15年度には上場来初となる473億円の当期赤字の元凶となってしまった。

 そもそもスキンカリオールは、圧倒的なシェアを持つ1位企業から大きく離された2位企業だった。当時「かなり前にうちにも持ち込まれたが却下した」(ビール大手首脳)案件を、後から高値でつかんでしまった。結局ブラジルキリンは17年に取得時の半値以下で売却するに至る。

 だが、海外の課題事業を切ったキリンHDの業績は、幸いなことに回復基調にある。ライオン酒類事業の好調で、17年度の海外事業の事業利益(のれん代等の償却前の営業利益)は、連結の33%以上に達した。

 成長を海外に求めた一連の取り組みが、頓挫の経験も含めて“一周”した18年。キリンHDは何を学び、何を次の成長の柱として狙うのか。東南アジアで各社が狙っていた大型買収案件はほぼ売り先が決まり、“買い物リスト”の残りは少なくなっている。前任社長2人の買収の後始末を終えた磯崎功典社長の次の一手が待たれる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)