永住資格は認めないで、「技能実習」から「特定技能」に切り替えられる可能性を広げる今回の案では、必要な期間だけ雇って、用がなくなれば帰国を余儀なくされるか、日本で職探しするしかない不安定な立場の外国人労働者だけを増やすことになりかねない。

 それだと、日本での安定した生活を求めて来る人たちの期待を裏切り、「派遣労働者切り」をめぐる昨今の問題を海外にまで拡大してしまうことになりかねない。日本が自国の都合だけで外国人労働者を使っているという批判が各国から強まり、「国際問題」化することになるだろう。

 国内でも、反グローバリズムの右派は、日本の立場の弱い労働者が割を食うことになるとか、不安定な外国人労働者の増加が治安悪化につながるなどとして、政府・自民党を「売国的体質」と糾弾するかもしれない。

 一方で、リベラル派はどうか。

 政府が出入国管理法の改正案を発表する少し前から、マスコミやネットで、不法滞在で取り締まり対象になっている外国人に対する入管当局の対応が話題になっていた。

 10月初旬、当局とコラボしたテレビのドキュメンタリー番組で、入管Gメンが不法就労者を摘発し、手錠をかける緊迫した場面が放映されたが、外国人労働者に対する偏見を助長するのではないかと、ネットを中心に批判の声が広がった。

 外国人問題に取り組む弁護士グループはテレビ局に対し、(1)摘発された外国人労働者たちが不法滞在状態にならざるを得なかった、技能実習先の企業の問題などの背景事情が省略されていたこと、(2)アジア系の外国人に対象が偏っていたこと、(3)不法滞在が凶悪な犯罪であるかのごとく扱われていたことなどを、問題として指摘する意見書を出した。

 こうしたこともあって、リベラル系のメディアは当面、在留外国人の権利を十分に守る仕組みを作ることが先決で、企業の都合でなし崩し的に外国人労働者を増やすことは認められない、というスタンスを取っているように見える。

 リベラル系の政党や知識人も、移民について、長期的にどのような態度を取っているのか、はっきりしない点がある。

 立憲民主党の枝野代表は、在留資格の新設は、事実上の移民政策だとし、それを正々堂々と主張しない政府の曖昧な姿勢を批判しているが、立憲民主党自身もまだ移民政策についての基本方針を固めていない。

 党内では、「リベラル」な立場から多様な文化的背景を持つ他者たちとの共存を目指す人たちと、移民に日本人の労働者の地位が脅かさされることを恐れる、最大の支持母体連合の意向を受けて慎重な人たちの考え方が対立しているようだ。

 国民民主党や社民党も態度を決めていない。共産党は永住外国人への参政権の付与、難民認定の緩和など、普遍的な人権擁護の姿勢を強調する一方、労働移民に関しては、安易な受け入れによる人権侵害の温床になっているとして技能実習制度の廃止を求めている。