回数を制限しても、実際に治療するうちに「次こそは」と突き進んでしまう。高山さんは「うちは一体幾ら使えるのかを明確にし、夫婦間で取り決めをしておくこと」を勧める。

 例えば、夫40歳700万円、妻35歳500万円で世帯年収が1200万円、貯金500万円という家庭でも、高山さんによれば、不妊治療に使える金額は200万円が限度だという。

 不妊治療のゴールは妊娠ではなく、その先にはもっとお金の掛かる育児が待つ。せっかく子宝に恵まれても育児資金がないのでは本末転倒だ。

 そして、思わぬ落とし穴もある。不妊治療で主に通院するのは妻。治療によっては毎日通院しなければならず、暇な部署に異動したり、仕事を辞めたりするケースも少なくない。妻の収入減というリスクも踏まえておく必要がある。

 最近では金融機関から「不妊治療ローン」と称した商品も登場。返済期間が短く高利子な商品もある。「貧すれば鈍す。手を出すのは絶対NG」(高山さん)だ。

 それよりも押さえておきたいのが、特定不妊治療費助成制度。都道府県ごとに実施されていて、東京都の助成内容は次の表の通りだ。