勤怠管理システムを無効にする方法も教えてくれた。パソコンのOS(基本ソフト)を米マイクロソフトの「ウィンドウズ」から「リナックス」に切り替えるのだという。なんとも技術者らしい規制のすり抜け方だ。

 別の管理職社員は、「“チャレンジ文化”と言われればそうかもしれない。上司からの指示がなくても皆やっている」と明かした。

 なお、隠れ残業をしていると証言したのはいずれも年俸制の管理職で、残業代の不払いとは関係がない。過重労働の有無を確認するための残業時間の申請に虚偽の可能性があるということだ。

 同社は2年前に残業の実態調査を行っているが、その後、定期的な調査はしていないという。

 同社幹部は、「隠れ残業など簡単にしていいとは思わないし。聞いていない」と話すが、見て見ぬふりをしていたのではないかと勘繰りたくなる。 

制度作って魂入れずが
東芝の「文化」なのか

 筆者は、残業自体を否定しているわけではない。東芝デバイス&ストレージは近年、低収益に沈み、社員は減り、個人の負担が増しているのも事実だ。

 問題なのは、残業を管理するために導入した勤怠管理システムや、「午後10時までに退社する」というルールが有名無実化していることだ。東芝の半導体部門は不正会計が行われていた主要職場の一つであり、とりわけルール違反をしてはいけない部門のはずだ。