日本シリーズで優勝したソフトバンクの強さは、育成選手も含めた激しいチーム内競争環境にも支えられている
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 今回の日本シリーズは実に見応えがあった。

 引き分けに終わった第1戦を含めて大差がついた試合はひとつもなく、流れ次第でどちらが勝ってもおかしくない緊迫した試合が続いた。福岡ソフトバンクも広島も両リーグの代表に相応しいレベルの高いプレーを見せてくれたといえる。

 この内容の濃いシリーズのMVPにソフトバンクの捕手・甲斐拓也(26)が選ばれたのも大きなトピックだ。キャノン砲のようなとんでもない速さと正確さを持つことから「甲斐キャノン」と呼ばれる強肩が威力を発揮。シリーズ新記録となる6連続盗塁阻止を達成したことが評価された。

 広島はこの度重なる盗塁失敗によって完全に勢いを削がれたわけで、異例ではあるがMVP選出は妥当。甲斐は昨年、ゴールデングラブ賞を受賞しベストナインにもなっているし侍ジャパンにも選ばれているから、野球通なら知っていて当然だが、たまにしか野球を観ないファンにとっては馴染みのなかった選手だったはずだ。が、この「甲斐キャノン」で一気に全国区の知名度を得た。また、捕手というポジションの重要さを再認識させた点でも大きな仕事をしたといえるだろう。

育成出身のバッテリーが
「日本一」の重要な役所を担う

 甲斐にはもうひとつ特筆できることがある。正規のドラフト指名ではなく、育成ドラフトでプロ入りした選手であることだ。ソフトバンクの場合、「育成組」は甲斐だけではない。2017年のワールドベースボールクラシックで好投を見せ、日本を代表する好投手といわれるまでになった千賀淏大(25)がそうだ。千賀は日本シリーズの第1戦と第5戦に先発したが、育成出身のバッテリーが日本一を決める重要な試合を任されたわけだ。