残念な人、一流の人、その差は紙一重 ――あなたの成長を阻む「7つの壁」を打ち破り、人生を拓くための技法とは。田坂流「成長の思想」をまとめた最新刊『なぜ、優秀な人ほど成長が止まるのか ― 何歳からでも人生を拓く7つの技法』より、本文の一部を紹介する。
「自分しか見えていない」という言葉の怖さ
職場で、ときおり見かける、残念な光景を紹介しましょう。
企画のセンスに優れた若手社員の山本さん。上司も周囲も、彼の企画力には、一目置いています。しかし、彼の仕事の評価は、あまり高くないのです。なぜでしょうか。
企画会議を覗いてみると、先ほどから、山本さんも含めた若手社員が、商品企画について各自が考えてきたアイデアを出し合っています。
まずは、中村さんが、自分のアイデアを説明し終わったところです。次の小林さんが、彼のアイデアの説明を始めました。上司の加藤課長は、熱心にメモを取りながら、それぞれのアイデアを聞いています。
しかし、山本さんは、あまり中村さんと小林さんのアイデアに耳を傾けていません。表情を見ていると、中村さんと小林さんのアイデアは買えないという雰囲気で、つまらなそうに、自分の説明の番が来るのを待っています。
その山本さんの雰囲気を、加藤課長は感じ取り、眉をしかめています。
けれども、山本さん、その課長の表情にも気がつかないようです。
さて、あなたは、この山本さんの評価が高くない理由が、分かるのではないでしょうか。
彼は、どれほど企画のセンスが良く、企画力に優れていても、企画プロフェッショナルとしては、必ず、壁に突き当たります。
なぜなら、一つの職場で、自分の提案する企画を実現しようと思うならば、優れた企画を提案するだけでは駄目だからです。
その企画に、周りの仲間が共感し、賛同し、実現に協力してくれるかどうか。
それが極めて大切だからです。