「アジャイル・ソフトウェア開発宣言」は、2001年にユタ州のスキーリゾートに集まった開発者グループによってまとめられた。それは単純だが強力な4つの価値を提案するものであった。

(1)プロセスやツールよりも個人と対話を
(2)包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを
(3)契約交渉よりも顧客との協調を
(4)計画に従うことよりも変化への対応を

 この原則はあらゆる種類のサブスクリプション・サービスに適用できる。

 イノベーションは何もない真空の中では起こらない。それは一定の期間にわたって1つのコンセプトを繰り返し追求したことの結果だ。一発勝負の大型製品の発売は、実際には燃え尽きへの入り口になる可能性がある。その結果、社員の生産性とインスピレーションも不健全なアップダウンを繰り返す。

 対して、アジャイル・ソフトウェア開発の利点は、持続可能な発展を支える環境を作り出す点にある。開発チームはイノベーションのペースを常に保てる組織でなくてはならない。それが状況対応を怠らず機敏に動くための唯一の方法だからである。

 いま、そのコンセプト──常に顧客の声を聞き、常にプロセスを繰り返す──が世界中のあらゆる産業に広がっている。

(本原稿は書籍『サブスクリプション』からの抜粋です)

〈バックナンバー〉
第1回 フォーチュン500に入り続けている企業の共通点とは?
第2回 急成長企業のビジネスモデルはここが違う
第3回 加速する自動車業界のサブスクリプション

第4回 「空のウーバー」のすごいビジネスモデル

ティエン・ツォ(Tien Tzuo)
Zuora創業者兼CEO
セールスフォース・ドットコムの創業期に入社し、CMO(最高マーケティング責任者)やCSO(最高戦略責任者)を歴任。同社での経験から「サブスクリプション・エコノミー」の到来をいち早く予見し、2007年にZuoraを創業しCEOに就任。Zuoraは、従来のプロダクト販売モデルからサブスクリプション・モデルへのビジネスモデル変革と収益向上を支援するSaaSプロバイダで、世界に1000社以上の顧客を持つ。2018年4月にニューヨーク証券取引所に上場。