消費者の関心が「所有」から「利用」へと移行しつつあるなか、急成長をとげているのがサブスクリプション企業だ。音楽・動画配信などで日本でも知られるようになったこのモデルが、なぜ伸びているのか。最新刊『サブスクリプション』(ティエン・ツォ著)の本文から一部抜粋してお送りする。

フォーチュン500に入り続けている企業の共通点とは?

デジタル・トランスフォーメーション
とは何か

 デジタル・トランスフォーメーションとは何か?まず、それがきわめて曖昧な用語だということを認識しておく必要がある。

 カンファレンスやマッキンゼー・レポート、『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌などで見聞きする、賢そうに聞こえるビジネス新語で、意味がわからなくても多くの人が思わずうなずいてしまう言葉。なんでも好きな意味を持たせられそうだが、何も意味していないかもしれない言葉だ。

 私が考えるデジタル・トランスフォーメーションの意味はこうだ。

 2000年にフォーチュン500に入っていた企業の半分以上が今では存在しない。この数字は見たことがある人も多いのではないだろうか。合併、買収、倒産の結果、多くの企業がリストから姿を消した。1975年にはフォーチュン500企業の平均寿命は75年だったが、今では15年だ。

 なぜこんなことになったのだろう。失敗の原因を探るため、消え去った企業にではなく、生き残っている企業に目を向けてみよう。