そうすることで、原案は官僚がつくるにしても、専門家の知見を取り込むともにさまざまな意見を出させて、必要あればパブリックコメントも募集して、民意を反映したという体裁を整えるのです。

 ちなみにこのアプローチには、審議会での議論の内容が公開・報道されることにより、一般の人にも重要政策について検討されている内容が周知されるというアナウンス効果も併せ持つということができます。

 それと比較すると、法務省はそもそもこれだけの重要案件なのに役所の会議体の位置付けとして審議会より格が低い検討会のレベルで、しかもわずか1ヵ月強というあり得ないくらい短い期間で検討を終えているのです。これでは、民間有識者の知見を踏まえた徹底的な議論など不可能ですし、メディアや世論もどういう議論が行われていたのかを現在進行形で知ることは困難です。

 要は、外国人の単純労働者の受け入れについては、審議会でオープンに議論して専門家の知見を取り込んだり、議論を世間に周知させたりすることなく、かつ全体でも半年、制度設計に至ってはわずか1ヵ月強で、官僚たちだけで本当にひっそりと検討を終わらせているのです。だからこそ、今回の法案については唐突感が免れないのではないでしょうか。

違法コンテンツのブロッキングと
比べてあまりにも拙速な進め方

 それを実感いただくための実例を1つ紹介すると、漫画村などの違法コンテンツ提供サイトへの対応として、それらのサイトへのアクセスを遮断する“ブロッキング”の法制化が検討されていますが、この問題については、内閣官房知財本部に置かれた検討会議で、賛成派・反対派の双方の民間有識者が時間をかけて、とことん議論しています。議論の内容が報道されることで、世の多くの人もこの問題を知るようになっています。

 外国人の単純労働者受け入れという政策の社会に与えるインパクトは、違法コンテンツのブロッキングと同様か、それより大きいと言っても過言ではないと思います。それなのに、ブロッキングについてはこれだけ時間をかけてオープンに議論されている一方で、外国人単純労働者についてはそれがほぼ皆無というのは、本来はおかしいのではないでしょうか。