11月8日の中間選挙後の米朝首脳“再”会談実現に向けた協議が進むなど、米国と北朝鮮が急速に距離を縮めている。こうした動きに日本は絡むことができていないが、地下経済の住人たちは、密かに北朝鮮に対する投資や開発ビジネスに奔走している。元経済ヤクザで、今は投資家、作家としても活躍する「猫組長」こと菅原潮氏が、日米朝の黒い民間交流を明かす。
北朝鮮の巨大ホテルを
買わないかと打診
「北朝鮮のホテルを買わないかという話があるんやけど…」
在阪のある不動産会社から私の元にこんな連絡があったのは、米朝首脳会談翌日のことだった。北朝鮮の信頼できる筋から、柳京ホテルを売却したいとの申し出があったというのだ。
柳京ホテルとは、1988年のソウル五輪開催に先駆けて、北朝鮮が国家の威信をかけて平壌市で建設を開始したホテル。延べ建築面積は約36万平方メートル、ピラミッド形の105階建てで、客室数3000室以上を有し、最上階には3つの回転展望レストランを用意する予定だった。
当時、韓国一の高さを誇ったソウルの63ビルや、韓国の企業グループがシンガポールに建設、世界一の高さを誇っていたホテル・ウェスティン・スタンフォード・シンガポールよりも高くすることを目指したとされる。