セレッソ戦でチームを勝利に導くプロ初ゴールをゲット。レイソル戦では勝ち越された、と誰もが観念した日本代表MF伊東純也のシュートを、ヘディングで弾き返す大活躍を演じた高卒2年目のDF小田逸稀(東福岡卒)は「ベテランの選手たちに引っ張られている」とリーグ戦を振り返る。

「アントラーズはどんな状況でも、絶対に勝たなければいけないので。こうやって試合に出られるのは嬉しいけど、やはりACLの方に出たい。悔しいですけど、セレッソに勝ったことがACL決勝第1戦の勝利に続いたと思うので、レイソル戦の勝利で決勝の第2戦も勝ってくれると思う。僕自身も今は確実に成長しているという実感がある。日々の練習から質の高いプレーが求められるし、紅白戦の方がハイレベルのこともある。そこでも絶対に負けたくないと思っているので」

 小笠原と昌子の間の世代として、伝統を伝える役目を担ってほしいとして、アントラーズは今シーズンから30歳の内田を約7年半ぶりに復帰させた。そして、セレッソ戦を前にして、サイドバックを主戦場とする小田に「緊張しているの?」と耳打ちした内田は、うなずいた後輩にこんなアドバイスを授けている。

「緊張感がパフォーマンスの質を上げることもあるんだよ」

 大先輩とのこんなやり取りを明かした小田は「内田さんのあのひと言で、緊張感を受け入れようと思いました」と笑顔を浮かべた。ポジションを争うライバルは、イコール、家族でもある。クラブの創成期にジーコが授けたイズムは秋田たちから小笠原たち、内田をへて未来を担うホープたちに受け継がれている。

 チーム愛だけではない。紅白戦から火花を激しくぶつけ合う本気モード。負けることを心の底から拒絶するメンタリティー。鈴木が築く強固な土台の上でジーコの魂が色濃く受け継がれてきた、ぶれない軌跡がアントラーズの強さの源泉。そして、今夏にはジーコ本人がアントラーズに電撃的に復帰し、コーチとして登録された。

「もともと強かったわけじゃない。タイトルを獲得するたびに強くなってきた」

 伝統のバトンを握り続ける小笠原が、かつて残した言葉だ。日本時間の今夜零時、8万人以上の大観衆で埋まるテヘランのアザディスタジアムでACL決勝第2戦がキックオフを迎える。クラブの悲願でもあるアジアの頂点に立ち、1996シーズンのリーグ戦制覇から数えて20個目のタイトルを手にした時、Jリーグ屈指の常勝軍団が身にまとうオーラはさらに凄味を増す。

(文中一部敬称略)