新宿の繁華街にあるビルの9階──。女性に人気の酒場カフェ「アンバーナイン」では、現金も使えるが同時にLINEペイや電子マネー、アップルペイ、クレジットカードなど驚くほどたくさんのキャッシュレス決済が使える。
「(キャッシュレス決済が使えないことによる)機会損失を少しでもなくしたい」と店長の古山裕司さんは言う。まだ現金払いの人が圧倒的に多いというが、「いずれキャッシュレス化を推進する企業に対して、税金軽減などの政府の施策が出てくるのではないか」(古山さん)と期待している。
規模の小さな加盟店がキャッシュレス決済を導入するには、決済端末などの初期費用や高い決済手数料がネックとなる。
「時代の趨勢がキャッシュレス化に流れているということを確認してみようと思った」
そう話すのは、東京・早稲田で印刷店を営む滝吉道信さんだ。今までは手数料の高さから現金決済のみだったが、知人の紹介もあり、今年1月、商店街と決済代行サービスのニッポンタブレットの実証実験に参加した。「わざわざ現金を引き出す手間が省ける」と利用者からは好評だ。
クレジットカードの決済手数料が8%近いこともある飲食店や美容院業界などでは、決済手数料が一律3.24%または3.74%と低率なモバイル決済「Airペイ」の導入が急拡大している。
これは、インバウンド客の対応で威力を発揮する。富士山の5合目では入山料を徴収しているが、現金を持っていない外国人から徴収できずにいた。だが、Airペイ導入でアリペイなどが使えることで、確実に徴収できるようになった。