♪ファミマの焼き鳥バカうまい~――。タレントの香取慎吾が、ファミリーマートの来店時のメロディーに乗せて歌い、公園で焼き鳥を頬張るテレビCMをご記憶の方も多いことだろう。
中華まんや空揚げなどのカウンターFF(ファストフード)は、普段は男性客の購入が多いが、「炭火焼きとり」は香取のCM放映以降、40代の女性の購入が増えたという。2017年6月に新しい看板商品としてファミマで発売して以降、1000万本を同社のFF商品として最短の6日で達成。1年間で2億本を突破した。来年初には3億本に達する見通しだ。
もっとも焼き鳥は、ファミマと合併する前の旧サークルKサンクス(CKS)の看板商品だった。CKS時代から焼き鳥の開発責任者を務めてきたのが、現在ファミマのファストフーズ部付部長兼ファストフーズグループマネジャーの川口雅洋だ。
業界4位だったCKSは、ローソンなら「からあげクン」、ファミマなら「ファミチキ」とフライドチキンの看板商品がある中で、あえて差別化戦略を打ち出し、焼き鳥に力を入れていた。11年までは、中国の工場でたれに漬けて焼いたものを輸入し、店頭の電子レンジで温めるだけだったため、風味はいまひとつ。そこで、川口がリニューアルに取り組むことになった。
出張先でも食べ歩き
焼き鳥の「焼き」を研究
まず着手したのが、たれの風味の改善だった。1998年に旧サンクスと合併前の旧サークルKに入社、菓子から総菜までさまざまな商品の開発を手掛けてきた川口は、粉末調味料を製造する旧知のメーカーが、本業では料亭などに納入する高級しょうゆを醸造する創業250年の企業だと聞いた。