国立感染症研究所は1月18日、インフルエンザの流行が拡大し、ついに全国で「警報レベル」を超えたと発表した。昨年より1週間早く、休校・休園や学級閉鎖も増えている。昨年10月31日に日本小児科学会の新興・再興感染症対策小委員会と予防接種・感染症対策委員会(以下、委員会)が公開した今シーズンのインフルエンザ治療指針から、小児・未成年者のインフル対策を考察した。(医学ライター 井手ゆきえ)
10代への投与が解禁
異常行動への対策は必要
2018年8月21日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、抗インフルエンザ薬(以下、抗インフル薬)「オセルタミビルリン酸塩:タミフル(商品名)」について、2007年から続いていた10代への原則投与禁止措置を解除。医薬品添付文書中の10代への使用を禁じた警告を削除するよう指示を出した。
2007年に同剤を服用した中学生の転落死などが相次いで報告されたことから原則禁じられていたもので、警告が削除される代わりに「異常行動」を他の抗インフル薬と同じく重大な副作用と位置づけ、重要な基本的注意として、薬の服用の有無、また種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には異常行動(急に走り出す、徘徊するなど)が現れることがあり、患者および保護者に転落などへの対策を行うよう説明することが明記された。
こうした流れを受け、今回公表された治療指針では、市中の診療所や一般病院での外来・入院診療を想定し、10代への抗インフル薬投与が推奨されている。
重症化リスクが高い患者に推奨
原則、発症後48時間以内に投与を
抗インフル薬には、高熱が続く時期の短縮や重症化を防ぐ効果がある。ただし、ウイルスの増殖を抑え込む薬なので、発症後48時間以内、つまりウイルスが爆発的に増殖する直前までに服用しないと高い効果は期待できない。