もしインフルエンザにかかったらいつから出勤していいのか。日々仕事に追われるビジネスパーソンならば、誰もが心配することだろう。よく抗インフルエンザ薬を服用し、高熱が下がった途端に完治したと思い込み出勤する人がいるが、そんな人は行動を改めなければならない。なぜなら熱が下がっただけでは完全に治癒しておらず、周囲に感染する恐れがあるからだ。「完治の判断は、“熱”ではなくて“咳”の症状で」と語る新座志木中央総合病院・加藤治文名誉院長に、これからさらに流行が危惧されるインフルエンザへの適切な対処法を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

猛烈な寒波の影響で早まった
インフルエンザの流行

加藤治文(かとう・はるふみ)
新座志木中央総合病院 名誉院長、国際医療福祉大学大学院 教授、東京医科大学 名誉教授。 1942年生まれ。1969年東京医科大学卒業。これまで東京医科大学教授、東京医科大学病院副院長・副学長、国際肺癌学会会長、日本肺癌学会会長、日本本呼吸器外科学会会長、国際光線力学学会会長、国際細胞学会会長、特定非営利活動法人日本レーザー医学会会長などを歴任。呼吸器外科医であるとともに、早期肺癌に対する光線力学的治療(PDT)の考案者、第一人者として知られる。

――2014年冬の今シーズンは、インフルエンザの流行が例年よりも早く始まっていますが、それはなぜなのでしょうか。

 インフルエンザは例年12月中旬頃から流行し始めるのですが、今シーズンは早いところで11月下旬頃から流行が始まっています。これは、寒波の影響で、いつもより早いタイミングで寒くなったことが影響していると思います。気温が下がり、空気が乾燥すると、鼻や気道の粘膜も乾きやすくなります。すると、外部から侵入してくる細菌やウイルスから身体を守る生体防御機構が弱まってしまい、その結果、インフルエンザウイルスにも感染しやすくなってしまうのです。

――どのような人がインフルエンザにかかりやすいのですか。

 まず、気をつけてほしいのが高齢者と子どもです。高齢者と子どもは、ウイルスへの抵抗力が低いので、他の年代の人よりもインフルエンザにかかるリスクは高いといえます。また、糖尿病や腎臓病、心血管疾患、免疫不全、がんなど、何らかの病気にかかっている人も、抵抗力が弱まっている状態なので注意が必要です。とくに、病気を持った人がインフルエンザにかかると、混合感染を起こして重症化してしまう危険性もあります。