返礼品競争に総務省が鉄つい
純粋な寄附目的も増えている

最近は品物ではなく体験型の返礼品が増えている最近は品物ではなく体験型の返礼品が増えている。(写真は、沖縄県読谷村のパラグライダー体験)

 今年も残るは1ヵ月あまり。年収が確定する12月になると注目されるのが、「ふるさと納税」である。

 ふるさと納税は、応援したい地方自治体に対して寄付をすることを目的に、総務省が2008年に設立した制度。2000円を超える寄付額については、住民税と所得税が一定額まで控除されるメリットがある。また、多くの自治体が寄附額に応じて返礼品を用意している。

 寄付をすればその分、税金が控除されるし、返礼品も手に入れられるとあって、ふるさと納税の寄付額は年々伸びている。スタート時の2008年には81億4000万円だったが、昨年は3653億円(前年比1.28倍)にまで急増している。

 ここまで伸びた背景には、豪華すぎる返礼品が増え、それ目当てに寄附が殺到するという構図がある。これに対して総務省が自粛要請の通達を出すといったニュースもあった。

ふるさと納税でジンベイザメとのダイビングまで登場、返礼品が大激変北海道白糠町の釣り体験

 もっとも、最近の傾向としては、地方への支援、自然災害への義援を目的にした寄付が増えている。そのあたりの事情を、1級ファイナンシャル・プランニング技能士で、ふるさと納税に詳しい風呂内亜矢さんに聞いてみた。

「ここ数年、地震や豪雨などの被災地へ義援金として、ふるさと納税制度を利用するケースが増えています。この動きが顕著になったのは、2016年の熊本地震からでしょうか。NPO法人などの諸団体を通して送るよりも、直接スピーディに自治体に義援金を届けることができるので、利用者が増えています」

 2015年、鬼怒川が決壊して周辺の自治体が水害に見舞われたが、その時もふるさと納税を通してすぐに寄付金が集まった。1つの町だけでは事務処理が間に合わず、周辺の自治体が助け合って応対に当たったという。ふるさと納税の本来の目的は、地方自治体の活性化にあるはず。それにかなった寄付が増えているのである。