小室 どうやって決断に至ったのですか。

大塚敏弘(おおつか・としひろ)
あずさ監査法人専務理事、あずさオフィスメイト株式会社社長。慶應義塾大学商学部卒業。1987年、港監査法人(旧KPMG Japan)入所。2003年、あずさ監査法人代表社員に就任し、HR企画本部副本部長、国際人材室長等を歴任。理事、常務理事を経て現職

大塚 我々が話していたのは、「新規案件を取り続ける限り、いくら施策を講じても、穴の開いた船から水を汲み出すようなものだ」ということ。ここで、一度外科手術に踏み切らなければいけないという危機意識がありました。

 同時に、この決断をしたことで、社内外に強い覚悟を示せたと思うんです。

小室 その決断ができず、社員と経営陣との信頼関係がすごく離れてしまっている企業が多いのです。「経営陣は、現場の状況を考えずに、利益だけを考えて受注判断している」と。こうして信頼関係がなくなると、いざ働き方改革を始めようとしても「ほら、こんどは利益確保のために残業代削減が始まったぞ」などと受け止められ、絶対に乗ってこなくなります。

 多くの組織では、すでに社員と経営陣の距離が離れてしまっているなかで、あずささんに関しては、あの英断で距離がグッと近づいたように感じました。

職員の満足度が
驚異的なペースで上昇中

小室 すでに非管理職の残業時間が前年比25%減という定量的な成果を出されていますが、これ以外にはどのような変化が生まれていますか。

大塚 職員の満足度です。「エンプロイー・エンゲージメント」と言われる、「このファームに入って誇りに思う」「人に勧めたい」といった項目があるのですが、2016年と17年の回答を比較して、「私の上司は、私の心身の健康に配慮をしてくれている」が19.7%、「私の上司は、個々人が仕事と生活のバランスを取れるようサポートしている」が47.7%上昇しています。

小室 すごいですね。ちなみに大塚さんご自身のライフの変化はいかがですか。

大塚 私自身、とにかく土日のメールがなくなったので、精神的にも非常に健康的になったと思います。