アパレル店での残業削減が困難と言われる中、シップスでは競合他社に先駆けて顕著な残業減を達成し、店舗効率を改善して売上を増やした。いったいどんな策を打ったのか

「お客様対応が最優先だから」「シフトの都合上、限界が」など、小売業での残業削減には、いまだに否定的な見方が根強い。そんな中、ファッションブランド・セレクトショップとして知られるシップスは、いち早く働き方改革に着手し、着実に成果をあげている。同社のコンサルティングにも関わった株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長が、シップスの原裕章副社長とともに、これまでの取り組みと秘訣を振り返る。(まとめ/アスラン編集スタジオ 渡辺稔大、撮影/鈴木靖紀)

好きなものに囲まれて
仕事をする人の働き方改革は難しい

小室 店舗を持つアパレル業界にとって働き方改革は最も難しいとも言われる中、シップスのグランフロント大阪店では2017年の2月に残業ゼロを達成しました。あれには驚きました。競合他社はいまだに働き方改革に手をつけていない状況で、ずいぶん早いタイミングで着手されましたね。

 3年前、アパレル業界の講演会に小室さんが来たのがきっかけですよ。人口構造の変化に合わせて働き方を変えなければならない。「なるほど~」と。

小室 あの場でお会いできて良かったです。でも、その時点ですでに問題意識があったからこそ、働き方改革へ向かうことができたのでは。

 私は学生時代から服が好きで、そのときに憧れていたお店でアルバイトを始めたのが、現在のシップスの前身のお店でした。だから、シップス一筋40年です。しかしそんな中でも、他社と広く情報交換ができるような関係性を築いてきました。実は、以前からプライベートでバンドやDJをやっており、それらの活動を通じて同業の関係者を集め、毎年末に対バンをやっていたりしたためです。

 私自身が、ライフの時間を全力で楽しむことや、そこでのインプットの重要性を感じていたので、「みんなにもライフの時間をもっと大事にしてほしい」という思いがありました。

 しかし3年前のシップスの店舗の状況は、残業時間が多く売り場のスタッフが疲弊していたり、休みを取りにくかったりといった状況で、私はずっと悶々とした思いを抱えていました。なかなか解決方法が見出せなくて悩んでいたときに、小室さんの講演を聞いたわけです。