中部電力守備固めに入っている中部電力。価格以外で他社との競争に臨む

 中部電力は11月に入り、トヨタ自動車などと電気自動車に関連した実証実験で、三重県が発祥のイオンと再生可能エネルギー活用で、それぞれ手を組んだ。大阪ガスと合弁会社を設立して首都圏の電力小売り事業に進出するなど“冒険好き”の中電だが、冒頭の二つの案件は、実は“攻め”というよりも“守り”の策である。

 トヨタとの実証実験は、再生可能エネルギーで発電した電力を電気自動車に有料で充電し、その充電分を登録した店舗などでポイントに交換できるサービスだ。

 イオンとの提携は住宅用太陽光発電の余剰電力分を中電が引き取り、イオンのポイントに交換するというもの。イオンは中電から余剰電力分の電力供給を受ける。

 それぞれ将来のエネルギサービスを提示する裏で、地元企業との結び付きを強める狙いが透けて見える。

 そこには焦りがある。販売電力量で業界2位の中電は地元である東海エリアの外に進出しているが、東京電力と関西電力という電力業界の“東西の両雄”も東海に攻め込んでいる。「関電の猛攻が凄まじい上、東電からも攻められて挟み撃ちの状態」(中電関係者)なのである。