お金のプロは株の銘柄をどう選んでいるのか?

柴山 株の銘柄は、どういう基準で選んでいらっしゃるんですか。

風呂内 商品・サービスをはじめ、自分でわかる会社ですね。株の場合も、アマゾンで欲しいものをすぐ買わずに「欲しいものリスト」に入れるのと同じで、いったん「欲しいものリスト」に入れて、しばらくその銘柄の株価推移を見ています。

柴山 株も「欲しいものリスト」に入れるんですか!

風呂内 買う前に、その株の動向の周期やどういう感性の人が買っているかを知りたいからです。あ、この銘柄は言われているとおりに決算期に向かって上がって行って、その後下がるんだなとかですね。この銘柄の場合は、繊細に反応して売り買いする株主が多いから私はちょっとついていけなさそうだな、とか判断するんです。

理想的な貯蓄率は全収入の25%!? ベストでなくベターを取りに行くお金の管理術とは?「株価が下がったときにスポットで多めに買う」という風呂内さんを、「タフな精神力の持ち主」と評する柴山さん

柴山 ETFも、テーマ型やインデックス(指数)連動型などいろいろありますけど、どういう基準で選ばれるんですか。

風呂内 TOPIX(東証株価指数)や米国株価指数のひとつであるS&Pなど、インデックス連動型です。分散させてポートフォリオ管理すべきだという話もよく聞きますが、私自身はあまり気にしていなくて、下がったときにスポットで多めに買うことを繰り返して増やしています。積立はいい手法だと思いつつ、自分には固定費のように感じられて、あまり性分に合わない気がするのでやっていません。

柴山 下がったときにスポットで買いにいけるのは、結構タフな精神力の持ち主だと思います。統計上は、株価が下がったときに不安になって売ってしまう人が大半ですから。下がった時に追加で買うとき、残高がマイナスになっているのを目にして後悔されたりしませんか。

風呂内 まあ下がることもあると思って買っているので、そこはあまりストレスにならないですね。

一括か積立か、相性はその人の性格次第

柴山 風呂内さんに相談に来る方は、リスクがあるから資産運用はやりたくないという方が多いのに対して、風呂内さんご自身の行動は真逆で、リスクをとって運用されていますよね。相談に来られる方ですごく現預金を寝かせていらしたりして一歩踏み出して運用を勧めようと思われたときなどは、どんなアドバイスをされるんですか。

風呂内 まず小さく始めてみることをお勧めするわけですが、先ほども申し上げたように、一括と積立のどちらがよいかは、その人の性格にもよると思うんです。私自身は、最初から株や投資信託などまとめて10万円ぐらい買って、そのまま放っておくほうが、毎月積み立てていくより気楽な気がしたんですよね。でも、人によっては、積立のほうが少額ずつで心理的なハードルが低いという方もいらっしゃる。人数としては、むしろ積立を好む方のほうが多い印象です。そういう方には、とにかく毎月5000円でも1万円でも始めてみることをお勧めします。やってみないと、本当の興味関心は生まれないのかなと思いますし。ウェルスナビでお釣りをためていく「マメタス」みたいなサービスも試してみたらいいと思うんです。

柴山 ウェルスナビユーザーの1割以上がマメタスを使っていらっしゃいます。マメタスなら1万円からスタートできますし、その後は毎月、数千円ずつ積み立てておられますね。

風呂内 人によって損やリスクに対する感じ方は千差万別ですし、何が正解かわからない、というところが皆さんの不安の根源にはあると思います。私としても、たとえば「20代なら株に100%投資すべきです」とスパッと言えてしまえばわかりやすいと思いますけど、それが必ずしも正解ではないから、やっぱり断言はできない。さまざまな選択肢があるからこそ自分に合った運用方法を選べるのがいいところですが、そのためにはある程度の情報をもとに自分で判断できるレベルに勉強する必要はある。結果として、アドバイスはケースバイケースにならざるを得ないところが、自分としても、もどかしいところです。

柴山 ウェルスナビの場合は、テクノロジーの力を使って、いま利用されている10万人の方のケースを参考として紹介したり、将来的にはAIの力でテーラーメイドのアドバイスができる仕組みを模索しているのですが、皆さんに資産運用の本質や成果をいかにお伝えしていくかはまだまだこれからです。今日は貴重なお話をありがとうございました。

風呂内 こちらこそ有難うございました!