地方局のアナウンサーから史上最年少の36歳で福岡市長に就任。
逆風のスタートから、いかにして福岡を「最強」と言われる都市に改革していったのか?
地方テレビ局の朝の情報番組キャスター時代、予算も限られたなかで
キー局に勝つ方法を模索し、人気番組に押し上げた経験が、
大都市に負けない福岡市に改革していくうえで役立ったという。
就任から8年、2018年11月の市長選では28万票以上を獲得し、
前回の市長選(2014年)に続いて史上最多得票を更新した。
しかし、そこに至るまでの道のりは、第1回の記事のとおり、決して平坦なものではなかったという。
博多駅前道路陥没事故の復旧や、熊本地震の際のSNS活用方法をはじめとした取り組みで注目を集める高島市長は、まさしく福岡市の【経営】者だ。そんな彼の仕事論・人生論が詰まった、初の著書『福岡市を経営する』(ダイヤモンド社)から、その一部を再編集して特別公開する。
<構成:竹村俊助(WORDS)、編集部、著者写真撮影:北嶋幸作>
「アサデス。」の視聴率を上げるために
市長に当選するまでの13年間、アナウンサーとして、とてもやりがいのある仕事をさせていただきました。それは今でも私の大きな誇りです。
いちばん長く担当していたのが「アサデス。」という朝の番組です。キャスターになった初年度は視聴率が連日4%から5%台で、全局中4位や5位と低迷していました。他局を見ると、TBS系列は当時絶好調だった「みのもんたの朝ズバッ!」、フジテレビ系列は「めざましテレビ」など強豪ぞろい。地方の局には到底マネできないキャスティングの番組ばかりでした。
その中で比較にならないほど予算の少ないローカル局が戦わなければいけない。もちろん簡単に勝てる相手ではありません。そこで弱者がどう勝ち上がっていくかを番組のプロデューサーやスタッフと徹底的に考えました。
視聴率を上げるために私たちがまずしたことは、徹底的に視聴率データを分析することでした。毎朝8時45分に発表される「視聴率の毎分グラフ」を分析し、福岡の人がどういうものに興味があり、同じ情報でもどういう出し方をしたら見てもらえるのかを徹底的に研究しました。
新聞記事を取り上げるにしても、単純に一面から紹介すればいいわけではありません。「福岡に住む人は、どのニュースのどのポイントに興味があり、共感するのか」
福岡ソフトバンクホークスの話題であれば、ホークスのどの選手をどういう角度から扱えば数字になるのか、視聴率グラフの分析をもとに、同期入社の川崎浩司(かわさきこうじ)プロデューサーと連日トライアンドエラー(試行錯誤)を繰り返していました。