シンプルに伝えることが発信力につながる
たとえば、あるニュースをテレビで取り上げるとします。あたりまえですが、その時間にテレビを見ていなかった人には届きません。しかしシンプルな言葉であれば、テレビを見た人は、その言葉を別の人に伝えることができます。テレビを見ていなかった人にも伝わる。これが伝播力であり、多くの人に伝わる発信力なのです。
行政としてきちんと発信しようとすると「シンプル化=そぎ落とし」はできません。「ようするに」「ざっくりと言えば」「ひとことで言えば」といった伝え方ができないのです。
行政における特徴的な言葉が「など」というワードです。網羅するうえで便利なワードなので、行政職員は「など」と書いて安心します。無理もありません。行政では「全部言わなきゃいけない」「過不足なくやらなきゃいけない」からです。
ニュースにもなった博多駅前の道路陥没のときにも、行政としてはすべての情報を発信することが求められました。
「どの町の何丁目で何が起きたのか」。そういうとき「ようするに」「ざっくりと言えば」といった表現はできません。「○○付近では」も混乱を招くという理由でダメです。行政がこういう発信の仕方をすると「付近ってどこだ?」という話になるからです。そこを大胆に咀嚼できるというのが、個人での発信の強みになるのです。
私は、あらゆる情報をざっと流し見したうえで、今、市民は何を知りたいのかを探り、行政側にある多くの情報のなかから、今みんなが欲しがっている答えをピックアップし、咀嚼し、短くシンプルに伝えます。だから、発信力があると言われるのです。
(次回は、「リーダーがやってはいけないこと」についてお伝えします。12/17公開予定です)