具体的には、繁忙期は1日8時間より長く働き、閑散期(夏季休業期)の8月は1日8時間より短くなる。これで、1年間の週の法定労働時間(週40時間)を達成させる。

 この提案は、かつて2007年にも中央教育審議会答申「今後の教員給与のあり方について」で「教員の勤務時間の弾力化」として話し合われたことがある。

明星大学教育学部の樋口修資部長
明星大学教育学部の樋口修資教授

 当時10年前、教員の勤務実態調査で8月の夏季休業期の1日当たりの平均時間外労働は小学校教員で14分、中学校教員で26分だった。このため、「一年単位の変形労働制」が議論の俎上(そじょう)に載せられたが、結論として「長期休業期中(8月)においても、研修、教材・授業研究、補習、部活動等の多様な業務があること等を踏まえ、慎重な検討が必要」と意見が出て、棄却されている。

 つまり、この提案は改正労働基準法に則っているという理由で蒸し返されたわけだ。教育関係者は口をそろえて「長時間労働が常態化している中、学校現場への導入は不可能。現場を見ていない」と強く批判する。

 また、社会的に生徒が夏休み等の休暇時、教員は休めると思われがちだが、実際には10年経ったいまも、8月は行政研修や教員の免許更新のための講習受講、教材・授業研究に忙殺されているという。

 明星大学教育学部の樋口修資(のぶもと)教授はこう言う。

「すでに1日の時間外労働が3~4時間、つまり、月の労働時間が80時間を超えているのですから、8月まで体がもたないでしょう。いくら時間外の上限を規制しても、業務が減らなければ、このまま長時間労働が恒常化し固定化するだけです」

 加えて変形労働時間制の導入時は要件が6項目(1.労使協定の締結 2.労働日および労働日ごとの労働時間に関する限度 3.労働日および労働日ごとの労働時間の特例 4.労働基準監督署への届け出 5.割増賃金の支払い 6.育児等を行う者に対する配慮)ある。

 だが、民間企業の労働者とは異なり、地方公務員には法律で労使協定の締結権等が付与されておらず、条例による導入とされている。このため、教員側の意向を聞くことになっておらず、「あらかじめ」業務繁忙期の勤務時間を特定されてしまうと懸念されている。