一方で、刑事事件としての立件については「『つぶせ』という指示だけでは具体性に欠ける」との指摘もあった。具体的に「けがをさせろ」などの指示を記録した音声データなどがないとハードルは高いという見方だ。

 警視庁調布署はDL選手の陳述書や内田前監督らの聴取内容、200人を超える部員や関係者の証言、試合映像の解析結果を慎重に検討。その結果、犯罪として立件するために厳密な客観証拠を必要とされる刑事事件としては、違法行為(具体的な指示)までは認定できないと判断したもようだ。

 捜査関係者によると、アメフトで「つぶせ」は「強いタックル」の意味で一般的に使われることがあり、明確に「けがをさせろ」という指示だったとまで踏み込むことは難しいという。

 また日大の第三者委が悪質タックル後に内田前監督とコーチが交わしたと認定した「やりましたね」「おお」という会話も、確認できなかったという。この会話は、第三者委が悪質タックルを内田前監督らの指示と判断した根拠の1つだった。

  一方、内田前監督は懲戒解雇とした日大の処分は不当として解雇無効と未払い賃金の支払いを求め東京地裁に提訴している。訴状では「試合映像を検証すれば指示がなかったことは明らか」とし、第三者委の事実認定は事実誤認があったと主張。昨年11月15日に開かれた第1回口頭弁論で、日大側は争う姿勢を示している。

 刑事と民事は判断が異なることがあり得るので、どのような司法判断になるか注目されるところだ。

 一方のDL選手。QB選手を負傷させた事実はあるため書類送検はされたが、一般的に大学では罰金以上の刑事処分を受けると処分される。だが世間の誰もそんなことは求めていないし、検察官も鬼ではない。起訴猶予の流れであるのは言うまでもない。