人工芝に慣れてしまい
天然芝の打球に対応できない

 実は、日本人内野手が最初に突き当たる壁は、打撃以上にまず守備面なのだと、古内氏は指摘する。
 
「技術面でいうと、まず1つ目は、メジャーで活躍する選手と比べて肩が弱いこと。たとえば三遊間の深い打球を捕って、体を切り返して一塁へノーバウンド送球するのは、アメリカでは普通のプレー。しかし、日本人選手にとっては難しく、ワンバウンド送球では見劣りします」

 2つ目は、クロスプレーでの激しい接触だ。

「メジャーでは一塁走者がセカンドベースにすべり込んでくる際、かなり激しいスライディングを仕掛けてきます。メジャーの遊撃手、二塁手なら、それを避けながらのジャンピングスローが当たり前。しかし日本では、そのようなスライディングが少なく、それを避ける練習をしていないため、どうしてもケガをしてしまうのです」

 特に苦労したのが、西岡剛だろう。11年シーズンに日本人内野手最年少の26歳でメジャー初出場を果たしたものの、同年4月、二塁ベースにスライディングしてくる走者と交錯して左足腓骨を折ってしまう。その後、併殺プレーの指導を受けるも、なかなか克服できず、打撃にも悪影響が広がり、2年足らずでアメリカを去ることになってしまった。

 古内氏は技術的な能力よりも、むしろ日本とアメリカの球場というハード面に根本的な違いがあることが大きいという。

「雨が多い日本では、シーズンのスケジュール面やメンテナンスなどのコストの安さもあって人工芝のドーム球場が多数を占めていますが、メジャーリーグのほとんどの球場は、天然芝。人工芝では、打球がイレギュラーバウンドすることがほとんどないので、予測可能な捕球ができます。一方、天然芝では、不規則なバウンドも当たり前ですし、人工芝よりもスピードが落ちる打球もあるため、前にチャージしてきて、素早く送球するようなアクロバット的なプレーも要求されます。とにかく天然芝に慣れて、かつ対応策を講じないとメジャーで活躍するのは難しいでしょう」

 内野手の打球処理の問題以外にも、大きな問題がある。それは、人工芝は天然芝よりも硬いため、足腰に負担がかかってしまうという点だ。また、ダイビングキャッチする際もケガのリスクが高くなり、選手寿命が縮まることにも繋がる。

 毎日プレーする人工芝と天然芝という環境の違いが、日米内野手のレベルの差を生んでいるともいえるだろう。