負担軽減策は
若年世帯に手厚い

 続いて、負担軽減策の影響はどうだろうか。

 世帯主の年齢階級別世帯ごとの負担軽減額を見ると、39歳以下世帯では一世帯当たり合計3万1042円で、負担増加額3万1875円をほぼ相殺できる水準となっているのに対して、60歳以上70歳未満の世帯では1万2575円、70歳以上の世帯では1万7460円と、負担増加額より1万円から2.5万円小さくなっているのが分かる。

 これは、今回の負担軽減策には、年金生活者支援給付金のような高齢者世帯を対象としたものも含まれているが、幼児教育無償化をはじめ、比較的若い世帯を利する対策が多く、負担軽減策はむしろ若年世帯に手厚くなっているためだ。

軽減税率の導入と負担軽減策は
政治的妥協の産物

 現在、政府は、高齢世代の給付を維持したまま現役世代にも給付を手厚くする「全世代型社会保障」の構築を目指している。そのためには、文字通りすべての世代が負担し支え合う社会の実現が不可欠であり、その目標実現には、政府によれば消費税を財源とするのが適している。

 しかし、消費税には逆進性が伴い、所得が総じて低い若者世帯や高齢世帯には負担が重くのしかかってくる。ウィナーテイクオールの小選挙区制のもと民意に過敏とならざるを得ない政治としては、票を失わないため、高齢世帯に有利な軽減税率の導入と、若者世帯に手厚い負担軽減策を採用したのであり、国民的なニーズの高い全世代型社会保障実現のための政治的妥協の産物といえる。

(中部圏社会経済研究所研究部長 島澤 諭)