日本人初のNFLプレーヤーが
現れる日は来るか

 その難関のNFL入りを目指しているのが佐藤敏基だが、その可能性はあるかもしれない。佐藤は早稲田大学でキッカーを務めていた。フィールド中央の50ヤードライン付近(ゴールポストまで約45メートル)からでもフィールドゴールを決めるキック力を持ち、学生通算フィールドゴール成功数記録も作った。大学卒業後は野村不動産に入社し、クラブチームのIBMでプレーするようになった。この頃、指導を受けたマイケル・ハステッド氏からNFLへの挑戦を勧められたという。

 ハステッド氏はNFLのキッカーとして9年間プレーした経験を持ち、指導者になってからも多くの選手をNFLに送り込んでいる。そんな人物が仕事を辞めて挑戦しろというぐらいだから佐藤が相当の能力を持っていることを感じたのだろう。その言葉に後押しされるように佐藤は会社を辞め、NFL入りを目指すようになった。クラウドファンディングで資金を集め、現在はアメリカに居を移してトレーニングに打ち込んでいる。

 佐藤のほかにもNFL入りに挑戦している選手はいる。大阪大学、Xリーグのエレコム神戸でキッカーを務めた山崎丈路(23)、強豪カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のオフェンスラインとしてプレーした経験を持つ庄島辰尭(25)などだ。

 彼らの夢が叶い、日本人初のNFLプレーヤーが現れる日は来るのだろうか。

 NFLは日本人の常識をはるかに超えた身体能力を持つ者が集まる世界だといわれる。サイズや幼い頃からプレーを重ねてきた経験値の差も大きい。その点から考えると難しいことは確かだ。ただ、キッカーは体の接触があまりないポジションで、長い距離を正確に蹴れる能力があれば通用するともいえる。しかし、それにしても枠が限られたポジションであり、全米から選び抜かれたライバルとの争いを勝ち抜き、プロになるのは至難だろう。NFLのチーム側にも日本人は通用しないという思い込みもあるに違いない。

 もっともMLBでは多くの日本人選手が通用している。サイズや身体能力の点で絶対無理と思われたNBAでも渡辺、八村という逸材が現れた。彼らがNBAで通用すれば、NFLでも日本人選手に対する見方が変わり、門戸は開かれるかもしれない。

 初の日本人NFLプレーヤーが生まれる流れはきているような気がする。

(スポーツライター 相沢光一)